犯罪から子どもを守る 司法面接法の開発と訓練(2008-2012)


プロジェクトの概要


 事件,事故,家庭内暴力,学校でのいじめ等,子どもが被害にあったとき,子どもから出来事についてどのように話を聞くかは,安全確保,調査,再発防止の鍵となります。
 けれども現実には,子どもから適切に話を聞くことは難しく,そのために事件が再発したり解決がとどこおることも少なくありません。
 聞き取りが困難である原因のひとつは,子どもの発達レベルに応じた,誘導のない面接法が確立していないことです。「司法面接」と呼ばれる面接法は,司法場面でも活かせる,正確な情報を得ようとする面接法であり,事実をできるだけバイアスのかからないかたちで聞き出すことを目的としています。
 私たちは10年ほど前より子どもへの司法面接の導入を試み,2007年度からは北海道児童相談所,札幌市児童相談所の心理士,福祉司の先生方に司法面接研修を行ってきました。2008年度より,独立行政法人「科学技術振興機構(JST)」の社会技術研究開発センター(RISTEX)の支援を受け,本プロジェクトを開始しました。


プロジェクトの内容


■研究部門
◆基礎研究:
 司法面接の開発には記憶とコミュニケーションに関する発達研究が重要です。ここでは子どもの報告の特性,面接に用いる道具(人形,描画等)の検討,質問や聴取法の検討・研究などを行ないます。
◆情報収集:
 面接法に関する国内,諸外国での取り組みや訓練,評価法に関する調査や情報収集を行います。
◆開発研究:
 教材の開発,訓練プログラムの効果測定を行います。上記を踏まえ,エビデンスにもとづく面接法と訓練プログラムのパッケージ(DVDと冊子)を作成し,配布します(最終的な成果物は2012年を予定しています)。

■研修・応用部門
◆研修:
 北海道児童相談所,札幌市児童相談所の専門家を対象に,年2回,それぞれ2日間の研修を行います。
◆現実事例への適用:
 現実の事例に司法面接を適用します。委託等によりスーパーバイズや評価等も行います。


研究グループ


■プロジェクト代表:仲真紀子
 プログラムの計画,実施,統括を行います。
◆所属:北海道大学大学院文学研究科 心理システム科学講座 教授
◆専門:発達心理学,認知心理学。専門は子どもの面接法,記憶,コミュ二ケーションの発達
◆主著・訳書:子どもの司法面接(英国内務省•保健省:誠信書房)(田中との共訳),子どもの面接法(アルドリッジ•ウッド:北大路書房)(編訳),目撃証言の心理学(北大路書房)(厳島•原との共著),子どもの発達心理学(新曜社)(高橋•藤崎•野田との共著)ほか

■北海道大学グループ
 北海道大学グループは,北海道児童相談所,札幌市児童相談所,札幌市精神保健福祉センターの協力を得て「司法面接支援室」を中心に活動を行います。
 司法面接と訓練プログラムを開発し,専門家への訓練と,面接法および訓練プログラムの評価(効果測定)を行い,最終的には面接法と訓練プログラムのパッケージを作成します。

■福岡教育大学グループ
 研究開発に携わる福岡教育大学グループは杉村智子教授を中心に「子どもの人物同定」の研究,キットの開発を行います。


■北海道児童相談所
■札幌市児童相談所


■アドバイザー:R.ブル教授
 ブル教授(レスター大学犯罪心理学部)は英国のガイドライン作成に貢献されました。プロジェクトのアドバイザーとして助言,情報提供をしていただきます。

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司法面接支援室 : 立命館大学 ・ 大阪いばらきキャンパス(OIC) ・ OIC総合研究機構 / 総合心理学部