技術情報

2015610日()

ビデオ録画面接の記録メディア

 この数年間で,ビデオカメラの性能はとても良くなっています。2007年に出版された「子どもの司法面接-ビデオ録画面接のためのガイドライン」ではVHSテープを想定して書かれています。現在は,VHSテープよりも小さな記録メディアにビデオデータを納めることができます。メディアは新しくなったとはいえ,この本に書かれている「面接前には,音声と画像を含む短い記録を作成し点検する」は,面接前に必要な準備です。
 過去の司法面接研修で,新品のSDカードを用いて録画に失敗したことがありました。SDカードが不良品だったのです。

 図1に,司法面接支援室で司法面接を実施する際の,面接室と観察室の簡単な構成例を示します。観察室でDVD-Rに記録するのと同時に,面接室のビデオカメラでもSDカードに記録しています。DVD-Rが不良品だった場合に備えて,予備としてSDカードでも記録しています。実際には,この他に遠景ビデオとICレコーダによる記録も行っています。


 記録メディアの一般的な特性を記します。また,司法面接支援室で発生した不良品や破損の頻度も記します。
◆SDカード(フラッシュメモリ)
 SDカードなどに使われるフラッシュメモリは,通電しないままにしておくと数年でデータが消えます。つまり,保存用には適しません。司法面接支援室の外部でビデオカメラだけで司法面接を行う場合は,一時的にSDカードなどのフラッシュメモリに記録しますが,すぐにDVD-Rにデータを移し原本とし,SDカードのデータは抹消します。
 SDカードは,パソコンに繋いで読み書きすることも可能です。ですが,パソコンでSDカードのファイル名を変更するのは避けるべきです。再びビデオカメラに入れた時に,カメラがファイルを見つけられなくなってしまいます。
 これまでに100枚程度利用して,不良品は1枚2枚ありました。
◆DVD-R
 書き換えが不可能で,数十年はデータが保たれると言われているため,保存に適しています。書き換えができないため,事前の点検は不可能です。DVD-Rで記録するビデオカメラを用いる場合には,不良品に備えて,ICレコーダなど他の記録も同時に行う方が安全です。
 比較的長い保存期間ですが,光に当て続けたり傷やゆがみによりデータが読み出せなくなる場合があります。DVD-Rは表面に文字を書くことができるので管理を行いやすいですが,ボールペンなどの様に固いペンで記入すると記録層を破壊してデータが読めなくなる場合があります。柔らかいペン先のペンを使う必要があります。
 表面にラベルを貼るのは危険です。ディスクの重心が狂い再生できなくなる可能性があります。再生機の中でラベルがはがれて内部に張り付き,ディスクを取り出せなくなる場合があります。ただし,もしもラベルを貼ってしまったディスクから,ラベルを剥がしてはいけません。剥がす際に,データを破壊する可能性があります。
 これまでに10,000枚程度利用して,不良品は3枚ありました(2層ディスクを含めると9枚ありました)。
◆ハードディスク
 大量のデータを保存できますが,壊れる可能性があるので,必ずバックアップを取る必要があります。テレビ用のハードディスクレコーダなどは,バックアップの機能がない物もあります。この場合は,DVD-Rなどの別なメディアにデータを移しておくのが安全です。
 一つのメディアに大量の面接を記録しておくことが可能ですが,どのファイルがどの面接であるか混乱が起きないように管理する必要があります。
 これまでに40台程度のハードディスク(パソコンを含む)を利用して,4台壊れています。
←図1
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司法面接支援室 : 立命館大学 ・ 大阪いばらきキャンパス(OIC) ・ OIC総合研究機構 / 総合心理学部