報告
2009年1月22日(木)
One-Stopサポートセンター(ソウル)を訪れました
One-Stopサポートセンターは警察病院の1階に,独立の入り口を構えて設置されている。 4人の警察官,4人のカウンセラーが8時間ないし12時間交代で勤務し,性被害,DV,学校での暴力等の被害者を24時間体制で受け入れている。被害者の数は月におよそ100人,男性,女性の被害者がおり,子どもは1割程度である(子どもの被害は,インターネットによって呼び出され,虐待をうける例が多い)。近いうちに心理学者も加わる予定だということであった。この施設は警察病院,警察,ソウル市,女性省によってサポートされている。
私の関心は司法面接とそれを行う司法面接室である。司法面接室には丸いテーブルに被害者,サポーター,そして司法面接を行う警察官の席があった。被害者の正面にワンウエイミラーがあり,天井と壁に計2台のカメラ,およびマイクロフォンがある。ここで得た画像,音声をモニター室でモニターすることができるようになっている。画像は英国と同様の部屋全体の画面,および被害者を移す2つの画面を合成できるタイプのものであった。テーブルの上にはアナトミカルドールがあった。ドールの使用は誘導につながる等議論の多いところだが,必要に応じて注意して用いているとのことであった。
報告が前後するが,被害が発生した場合の手続きを述べる。被害者が訪れると,まずカウンセラーが最初のインタビューを行う(カウンセラーは誘導情報を提示しないように注意を払う)。そして,訴追するかどうか,医療が必要かどうか,を判断する。訴追する場合は警察官が面接を行い,録画したビデオを警察と検察に提出することになる(センターには残さない)。医療証拠は冷蔵庫に保管し,すぐに訴追しないときには科捜研のような部署に送られるということであった。このように複合的な対応が可能なので,面通ししなければならない場合等をのぞき,被害者はこのセンター一カ所でほとんどのケアを受けることができる。その後,PTSDがある場合は,カウンセラーによる13回のプログラムが用意されており,また50人の弁護士が提携していて法的なコンサルタントを受けることができる。カウンセリングも法的コンサルタントも無料とのことであった。なお,訴追するのは75%である(ただし,どれくらいが法廷で有罪になっているかはフォローしていないとのこと)。
パク教授によれば,韓国の人は新しい方法や手続きの導入には積極的であるとのこと(古い物をどんどん壊して新しくしていくのが好き,と笑いながらおっしゃった)。子どもはその恩恵を受けていると感じた。
仲 真紀子